地方創生計画の行方

東京一極集中は加速し、人口減少に歯止めがかかりません。地方自治総合研究所の調査では、地域の将来像を全て自前で描いた市町村は全体の2割にとどまっています。地方消滅が危惧される中、自律的な地域社会を築くため、第2次安倍政権は地方創生政策を始めました。政府は地域活性化の理念を示した「まち・ひと・しごと創生法」に基づき、全国の自治体に地元の実情に沿った5カ年計画である地方版総合戦略の策定を要請しました。戦略は2019年度が最終年となります。



政府の地方創生政策の出発点として、全国の市町村が独自で作った地域再生の基本計画の7割超が、外部企業などへの委託で策定されていたことが分かりました。委託先は東京の企業・団体が過半数を占め、受注額は少なくとも21億円超に上ることも判明しました。地方創生政策は、人口や雇用の減少で疲弊する地域の自立と活性化が目的で、第2次安倍政権が看板政策として打ち出しました。政府は地方の主体性を促し、民間に全面依存しないよう求めましたが、東京一極集中の是正に向けて地方に配られた策定段階の交付金の多くが東京に還流した形になっています。情報を一番持っている東京のコンサルに頼むという判断は自治体として当然かもしれませんが、地元で考えるべき問題を投げてしまえば、人口減少に向き合う機会を失ってしまいます。

(2019年1月3日 中日新聞)
(吉村 やすのり)

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