基礎研究費の削減

基礎研究とは、科学の新原理の発見を目的とした研究をさしています。純粋な好奇心に基づいて研究し、研究中は何に役立つかわからないことも珍しくありません。しかし、基礎研究で得られた成果は、その研究分野を発展させるだけでなく、結果として、社会に根本的な変革をもたらすことがあります。一方で、日本の基礎研究を支えてきた運営費交付金が削減され、科学研究費助成事業(科研費)も年々取りにくくなっています。
運営費交付金は大学や研究機関に配られ、研究や事務の正規職員の給与などを差し引いた残りが、研究者に分配されます。研究成果の芽のうち、発展が期待できそうなものを国が選んで支給するのが科研費です。応募したテーマ以外の目的には使えませんが、自由な研究費の延長といえます。しかし、2004年の国立大学法人化を機に、国は大学の運営の効率化を進めるため運営費交付金を年に1%ずつ、計1,400億円以上減らされています。その間の科研費の増額は約450億円にとどまっています。科研費の応募件数は、6年で約14%増加、昨年度は採択率が約25%に落ち込むなど、獲得するのが年々難しくなっています。交付金削減の影響で、科研費がないと研究を続けられない研究者が増えてきています。

 

(2018年9月28日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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