変形労働時間制の拡大

労働時間の上限は、原則1日8時間、1週40時間と法律で決まっています。これを超えて働かせる場合、労使で協定を結び、超えた分の残業代を払う必要が出てきます。ほかの時期に労働時間を減らして穴埋めすれば、残業代などを払わずに、働き手に長時間の勤務をさせられる変形労働時間制を導入する職場が増えています。人件費の節約や休日の固め取りなどにつながりますが、働き手が長時間労働に陥りやすくなります。
厚生労働省によれば、2019年の導入率は62.6%で、2015年より9.8ポイント増えています。業種別では、1千人以上の製造業で86.7%や、運輸・郵便業で78.1%などが高くなっています。一方、4年間での導入率の伸びをみると、教育・学習支援業で、69.3%の21.7ポイント増などが目立っています。学校現場では、教員の長時間労働が課題になっており、夏休み期間などに休日を固め取りさせることで、普段の働き過ぎの辻褄を合わせる狙いがあります。
残業代を払わせないで済ませるために、安易に変形労働時間制を導入したり、脱法的に運用したりする企業が多くなっています。変形労働時間制の導入には、対象となる働き手の範囲や対象期間などを決め、予め労使協定や就業規則などで定めておく必要があります。

(2020年8月31日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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