夏の食中毒

食中毒を引き起こす主な原因は、細菌とウイルスです。ウイルスは低温や乾燥した環境で長く生きるため、ノロウイルスなどによる食中毒は、冬場によく発生します。細菌は高温多湿の環境を好むため、夏場は細菌性直中毒に気をつけるべきです。細菌性食中毒といえば、かつては細菌が大量に増殖した食品を食べることによって発症すると考えられてきましたが、最近はごく少量でも食中毒を招く細菌があることがわかってきました。
その代表例がカンピロバクターです。肉類、特に鶏肉の汚染率が高いとされています。新鮮な肉ほど菌が多いので注意が必要です。感染を防ぐには、しっかり加熱することが大切です。サルモネラ菌や、O-157で知られる腸管出血性大腸菌も、少量で食中毒の原因になることがあります。いずれも肉類に含まれていることが多く、加熱不足で発症します。
食中毒菌は加熱すれば殺菌できるとは限らず、ウエルシュ菌は熱に強く、37~45度が増殖が最も活発になります。黄色ブドウ球菌は、ヒトの皮膚などに常在する菌で、手で握ったおにぎりに付き、気温の高い戸外で長時間経つと増え、毒素を出します。
基本はとにかく手指をよく洗うことです。肉・魚介を切った包丁やまな板は、洗剤で洗った後、熱湯や日光で消毒するのが望ましいとされています。まな板やボウルは、肉・魚介用と野菜用を分けると理想的です。

(2018年6月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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