外国人の結核患者の急増

国内全体では減少傾向の結核患者が、外国人で急増しています。昨年の登録患者は1,530人で、5年間で1.4倍に増えています。外国人の占める割合は、この20年で2%から9%に拡大しています。結核の多いアジア諸国から、仕事や留学で来日する人の増加が背景にあるとみられます。結核は、結核菌が咳やくしゃみで空気感染し、主に肺で増えて発病します。世界保健機関によると、2016年は170万人が死亡しています。国内の外国人患者は、結核が広がるフィリピンや中国、ベトナム生まれが多くなっています。これらの国から技能実習生や留学で日本に入国する人が増えています。発症した状態で入国したり、劣悪な環境で生活する中で発症して感染が広がったりするケースがあります。
厚生労働省は、今年2月に、日本の長期滞在ビザを申請する人に、母国で結核検査をしてもらう入国前スクリーニングの導入を決めています。出入国管理法は結核患者の入国を認めておらず、発病していないか治癒している証明がなければ、ビザを出さないことになっています。早期発見できれば、通院しながら治療できます。受け入れる以上、外国人への診療体制の整備も進めていく必要があります。

(2018年8月29日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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