多子世帯の支援

結婚して子どもを産みたいと考える人の希望がかなった場合の値は1.8であり、政府はこの希望出生率1.8を2025年度に実現する目標を掲げています。1人の女性が生涯に産む子どもの数にあたる合計特殊出生率は2018年に1.42にとどまっています。少子化の大きな原因は、未婚化と晩婚化に加え、核家族化に伴う子育ての困難さが大きな原因の一つです。政府は少子化が急速に進むのを受け、追加対策を取りまとめています。2人以上の子どもがいる世帯への支援拡充や男性の育児休業の取得促進、保育所の整備など施策を追加します。
2人以上の子どものいる世帯への支援拡充を目指します。子ども1人に月1万~1万5千円を支給している児童手当を第2子や第3子には大幅に拡充します。男性の育児休業の取得促進も促します。厚生労働省の調査では、男性の育児時間が長いほど第2子が産まれる割合が高まります。政府は、育児休業給付金の支給水準を引き上げる検討を始めています。働いている時の賃金水準をなるべく維持し、男性の取得を後押しする狙いがあります。
不妊治療を巡っては、体外受精の医療費で助成金を受ける場合、夫婦の世帯所得が730万円未満となっています。この所得制限を緩めてより高い世帯所得の人にまで広げる案を検討しています。子どもが産まれた時に支給される出産育児一時金は、現行の42万円から50万円への増額も検討されています。
少子化の要因は、若年世代の金銭的な問題だけでなく、多岐にわたります。50歳までに結婚しない人の割合を示す生涯未婚率は、1980年は男性が2.6%、女性が4.45%でしたが、2015年には男性が23.37%、女性が14.06%に上昇しています。女性の社会進出が進み、子どもを産み育てることがキャリアの障害になると考える人も少なくありません。男性は働くことが中心で、女性に育児や家事の負担がのしかかる日本の慣習から脱しきれていません。若い男女が、子どもを持ち、子育てがしたいと思えるような環境を作り出すことが少子化を脱却する唯一の道です。
課題は財源です。昨年10月に消費税率を8%から10%に引き上げたばかりで、所得増税などの個人の負担を増やす財源確保策を取りにくい環境にあります。児童手当は、1万円増加するだけで1兆円を超すという指摘もあります。しかし、少子化対策は未来への投資に他なりません。国民全体が最重要課題であることを認識しなければなりません。

 

(2020年2月15日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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