大人の鼻血

子どもの鼻血は、ほとんどが鼻の穴から1㎝ほど奥にあるキーゼルバッハ部位で起こります。鼻の皮膚と粘膜の境目にあり、細く小さな血管が密に集まっているので、ちょっとした傷でも出血します。鼻血が出やすい半面、指で圧迫することでほとんどの場合は止まります。一方、大人の鼻血は、高血圧や糖尿病、腎臓病などの病気や飲んでいる薬の影響など、全身の状態がからんでいることがあります。子どもの鼻血と比べると、大人の鼻血は止まりにくく、出血量も多くなるので注意が必要です。
鼻血が出たら、椅子に腰掛けて、軽く下を向いた姿勢を保ちます。小鼻と呼ばれる、鼻先の左右のふくらみを親指と人差し指でつまみ、5~10分間ほど保持します。この対処法で血が止まらない場合は、耳鼻科を受診すべきです。脳梗塞や心筋梗塞の治療で、血液を固まりにくくする抗凝固薬(ワーファリンなど)や抗血小板薬(バイアスピリンなど)を飲んでいる場合、鼻血は止まりにくくなります。鼻血ががんの早期発見につながることもあります。

(2018年5月12日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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