大学の再編

国立大学が国の直営から独立行政法人の運営に切り替えられたのは2004年です。大学の個性を伸ばして競争力を高める狙いがありました。さらに昨年10月、文部科学省は1つの国立大学法人が複数の国立大学を運営できるようにする新制度の案を公表しました。名古屋大学と岐阜大学は先駆けとなりそうです。新法人として設立する東海国立大学機構(仮称)が両大学を運営します。大学名や学部、学科を残して管理部門を集約し、教養課程を共通化する構想です。経営の効率化と規模の拡大で生まれる人員や財源を、それぞれの特色のある教育研究分野に重点配分して機能強化を図ります。
このような大学の再編の背景には、背景には18歳人口の減少があります。文部科学省によると、2009年以降は120万人前後で横ばい状態でしたが、2018年から再び減少局面に入ります。教育関係者の間では2018年問題と呼ばれており、大学経営への影響が懸念されています。日本私立学校振興・共済事業団のまとめによれば、私立大学・短期大学を運営する662法人の3年分の資産や負債を調べたところ、約16%にあたる103法人は経営困難な状態でした。特に経営が厳しいのは地方の小規模大学です。私立大学は今後、主体的に連携・統合を考える必要があります。大学間の連携・統合は地方の大学には避けられない状況にあり、どの大学とどのように連携すれば、良い教育が続けられるのか、真剣に考える必要があります。

(2018年4月26日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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