大学改革の統合イノベーション戦略

財務省によると、日本の高等教育機関の研究開発費の総額は、2015年で209億ドルです。主要国では米国の666億ドルに次ぐ水準です。しかし、英科学誌ネイチャーが特許に結び付いた研究機関の成果をまとめた調査では、日本勢で最上位の大阪大学でも世界31位です。論文の引用回数が各分野、各年で上位1割に入るトップ10%論文を1件うみだす研究開発費総額は660万ドルです。米国の3倍を超え、日本は研究開発の生産性が低いとも指摘されています。
政府は国立大学でも成果を評価する仕組みが乏しいことが、大学の競争力を下げているとみています。大学に配る運営費交付金の総額は2018年度予算で1兆971億円です。そのうち9,078億円と8割超を占める基幹経費は、学生や教員の数をもとに算出されています。成果で増減する重点支援評価の予算は285億円程度に過ぎません。つまり、大学の競争を促すメリハリのついた予算になっていません。
業績給の比率を高めた年俸制の拡大は、若手の登用にも欠かせません。成果を出して高い給料を得る人が高いポストに就くように人事制度を切り替えることも大切です。また、企業との共同研究、ベンチャー企業の設立なども大切です。民間企業との連携に消極的な大学の交付金は減額されることになります。

 

(2018年5月24日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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