大学生の減少

日本の18歳人口は、205万人を記録した1992年以降、減少傾向が止まりません。一方で、規制緩和の影響もあり、大学数や収容定員は増え続けてきました。文部科学省は、えり好みしなければ、ほとんどの受験生が大学に入れる大学全入時代が、2007年にも訪れると予測していました。しかし、実際は旧帝大など有力な国立大学や大都市圏の大規模私大には人気が集まり、競争倍率は高いままです。一方、地方の小規模大学を中心に私大の4割前後が定員割れし、二極化が進んでいます。
そんな中、2010年ほど横ばいでしたが18歳人口は2018年から再び減少期に入りましたが、文部科学省が人口動態統計などをもとに今年2月に推計したところ、現在の約118万人は2034年度には100万人を切り、2040年度には現在よりも約25%少ない、約88万2千人になってしまいます。文部科学省は、一方で女子を中心に大学進学率は今後も少しずつ上昇続け、2040年度には女子が現在の49.1%から56.3%に、全体も52.6%から57.4%に上がると予測しています。それでも18歳人口の急減を補うには至らず、2040年度の大学進学者は現在の約62万1千人より19%少ない、約51万人になると算出しています。
現在の全国の大学の総入学定員は約60万人です。文部科学省の試算通りに進学者数が推移し、定員も変わらなければ、現在は104%の定員充足率が、2040年度に約84%まで落ち込むことになります。都道府県別にみると岩手や新潟、徳島では60%台まで落ち込み、今後、京都、大阪、兵庫、愛知などの大都市圏でも80%前後、東京は92%となってしまいます。このため、地方の大学だけでなく、大都市圏の大規模大学も学生集めが厳しくなる恐れがあります。

(2018年10月4日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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