大還暦

人生100年時代とは、英国の学者であるリンダ・グラットン氏らが書いた「ライフ・シフト」という本がきっかけです。これまでは人生80年時代といわれてきましたが、人生100年時代のことを考えようという機運が高まっています。長い高齢期を生きていく上でどのように仕事を確保し、生きがいのある生活を実現していくかが問われる時代になってきています。人生80年時代の政府の役割は、個人に様々なサービスを提供することだったかもしれません。しかし、人生100年時代には、政府の役割は一人ひとりが自立的にいつまでも生き生きと活動できるような基盤を構築することにあります。
生物学的なヒトの寿命は120年といわれています。還暦とは暦が1周したことを意味します。暦が2周する120年を大還暦といいます。昔に比べ高齢者は元気になってきており、2周目の人生を生きることができるようになってきています。誰もが健康で長生きすることを望めば社会は必ず高齢化します。高齢者は弱い者、支えられるべき者ではなく、子育てが終わり、自分と社会のためだけに全てのエネルギーを使える人と考えるべきです。
これからの高齢者は、2周目の人生における新たな幸せな形を模索することが必要になります。日本がこれから取り組むべきテーマは、高齢者が与えられた人生をいかにして楽しく健康に生きることができる社会をつくるかです。医療と介護は、他人に何かをしてもらうものではなく、最後まで自立した生活を送ることを支援する仕組みと考えるべきです。
長嶋茂雄氏が以前60歳を迎えた時、初めての還暦と仰いました。人生100年時代を迎え、いずれ2度目の還暦を迎える人も出てくることでしょう。

(吉村 やすのり)

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