大都市の財政逼迫

政令指定都市は、人口や企業が多く、豊かに見られがちです。しかしインフラ整備など大都市ならではの歳出が膨らみ、財政は意外に逼迫しています。足元の新型コロナウイルス対策に加え、今後進む高齢化で自由に使える財源は一段と乏しくなっています。
コロナは感染者の多い大都市の財政を直撃しています。コロナ禍で税収が落ち込む地方財政は、当面、借金に頼らざるを得ません。2021年度の交付税は2.4%減る計画で、政令市の借金依存は加速する見通しです。
総務省は2021年度予算の概算要求で、赤字地方債に当たる臨時財政対策債(臨財債)を6兆7,966億円と倍増させています。臨財債は交付税で補填するとはいえ、自治体の借金に変わりはありません。政令市の住民1人当たりの市債残高は65万円で、人口20万人以上の一般市の3倍近くなっています。
税収など通常入ってくる財源に対し、人件費や借金の返済など義務的な経費の比率を示す経常収支比率は、政令市の平均で96%です。望ましい水準とされる70~80%はほど遠く、弾力的に使える財源は4%しかないことになります。

(2020年10月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。