夫婦別姓をめぐる背景

 結婚により夫婦は同じ姓になる、女性は離婚後、6カ月は再婚できない、この二つの民法が、憲法に違反するかどうかが争われた訴訟で、最高裁大法廷が1216日に判決を言い渡します。広く国民が姓を持つようになった明治時代、当初は夫婦別姓も認められていました。1898年に施行された明治民法は、戸主及び家族はその家の氏を称すとし、姓は家名とされ、多くに場合妻が夫の家に入る形で姓を変えるようになりました。
 戦後の日本国憲法は、男女平等を定め、1948年に施行された新しい民法では家制度が廃止されました。結婚した夫婦は、親の戸籍から独立して新しい戸籍を作ることになりました。夫または妻の氏を称すると形式的には平等になりましたが、妻が姓を変える方が多くなりました。1985年に国連の女性差別撤廃条約を日本が批准すると、女性の差別につながる法律の条文の見直しが課題になりました。法制審議会は1996年、夫婦が希望すれば別々の姓を選べる選択的夫婦別姓などを柱とする民法改正案をまとめました。しかし、国会議員の反対が強く、改正案は国会に提出されませんでした。

(2015年11月25日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

 

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