女性のスポーツ指導者

 最近の五輪では、選手数もメダル獲得数も男女ほぼ拮抗しています。しかし、選手団に監督やコーチとして参加した女性の割合は、2012年ロンドン大会で12%、昨年のリオデジャネイロ大会でも16%にとどまっています。日本オリンピック委員会の女性専門部会がロンドン五輪の期間中に行った調査では、女性選手の8割が、強化スタッフに女性が増えることは有益と回答しています。また国際オリンピック委員会は、競技団体など全てのスポーツ組織に対し、2020年までに女性役員の割合を40%以上にまで増やすことを勧告しています。
 女性指導者が増えない理由としては、男性指導者にしか教わったことがない女性選手も多く、ロールモデルが少ないことは大きな一因です。結婚や出産といったライフイベントもあります。女性指導者に活躍してもらうには、サポート態勢の構築も不可欠です。また女性アスリートの健康を守る上で、女性のからだの仕組みを理解することは極めて重要です。女性アスリートが最高のパフォーマンスを発揮するためには、月経を始めとする女性特有の体調管理が必要となります。女性アスリートは、男性より女性指導者に相談しやすい状況は容易に想像できます。女性の起用は多様性を生み、そこから新たな価値観が生まれます。

(2017年3月8日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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