女性医師の活躍―Ⅲ

女性医師に求められるもの
 女性医師は男性に比較して、妊娠、出産、子育てに代表される人生の種々のイベントがあり、キャリアが中断されやすい事が明らかにされています。また、キャリアアップを意識するとより、家庭、家族を優先したいと考える人が多いのも事実です。しかし、現在は、国も社会も、病院も学会も子育て中の女性が仕事を継続する重要性を認識してきており、キャリア継続のための環境整備を行いつつあります。さらに、少ないながらも身近にキャリアモデルとなる女性医師もみられはじめ、学会役員に参入している女性もみられるようになってきました。今こそ学会運営に参画できるチャンスが大きく開かれている時期と考え、タイミングを逃さず、積極的に前に進んで欲しいと思っています。
 私達が専攻する産婦人科学は、若い世代に女性医師の割合が高く、女性医師の役割が大いに期待されています。近年、周産期ではハイリスク妊娠が増加しているので、女性医師が活躍しなければ、日本の将来の安全な妊娠・出産を継続することは困難となります。臨床はもちろんのこと、学術的な活動を続けることは女性医師の責務であると考えられます。
 学会運営に参加するチャンスをより広げるためには、まずは、病院内でも管理職に女性医師を登用すること、学会などの委員会をはじめとする病院以外での職務にも、女性医師をより多く推薦、参画させることが必要となります。短期的には学会役員へ占める女性医師の数値目標を掲げて、学会自らが努力をすることが求められます。クオータ制を導入することも考えなければなりません。最も大切なことは、夫や上司、学会中枢部を含めた男性の意識改革と、女性医師も自らの意欲と意識を持つことです。まずは、学会発表、論文作成を積極的に行い、シンポジストや病院外部の委員などへの要請に対しては、消極的な態度をとらないことです。自らのためばかりでなく、後へ続く後輩女性たちのためにも、果敢に学会運営に参加していく意識を持つことが肝要です。

(吉村 やすのり)

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