女性外科医の執刀

大阪医科薬科大学などの研究によれば、女性外科医1人あたりの執刀数は男性より少なく、胆のう摘出など6つの消化器の手術を対象に調べたところ、膵頭十二指腸切除術など難易度が高い手術ほど、男女格差はより顕著になっています。京都大学などによる別の研究では、胃全摘手術など3つの手術において術後死亡率や合併症が起こるリスクは男女で変わらず、男女で手術成績はほぼ同等であることも明らかになっています。
消化器外科医に占める女性の割合は2016年時点で6%で、米英と比べて少数です。特に教授などの指導者では極端に少ないことが問題視されており、手術経験の差が主な原因と考えられています。女性は手術の執刀に向いていないとの偏見があり、外科医への道に進みたくても歓迎されない話はよく聞きます。外科医になっても、手術の機会が公平に与えられず、転科する人も少なくありませんでした。一外科医として、女性外科医が男性に比して技術的に劣っているとは思いません。偏に執刀の経験の差が関係しています。最近では、女性外科医による内視鏡下手術が増えてきており、執刀数も増加してゆくものと思われます。

(2022年10月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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