妊娠前のケアの必要性

心臓は受精後22日に拍動を始めます。神経管は受精後28日までに閉鎖します。口蓋が閉じるのは受精後56日です。催奇形性の臨界期は受精後約2~8週までです。妊娠のかなり初期と言えます。産婦人科の対象になるのは、基本的に妊娠してからの人たちです。しかし、妊娠してからでは対処できない問題があります。ワクチンもその一つです。風疹ウイルスワクチンは、先天性風疹症候群を予防しますが、妊娠中に接種することはできません。これから妊娠したいと思っている人にとって、感染症のチェックと必要なワクチンの接種は、自分のためにも、生まれてくる赤ちゃんのためにも大切です。
葉酸は、水溶性のビタミンB群の一種で、細胞の増殖や成長のために不可欠なビタミンです。葉酸の摂取不足と二分脊椎などの神経管閉鎖障害の関係も、海外における長年の研究で明らかになっています。米国では、穀類への葉酸添加が義務付けられています。中国では、葉酸のサプリメントと神経管閉鎖障害のリスクに関する介入研究が行われており、妊娠を計画している女性が毎日400㎍の葉酸の錠剤を妊娠3か月まで服用したところ、服用しなかった場合と比べて、神経管閉鎖障害のリスクが4割ほど低下しています。厚生労働省は、妊娠している人や妊娠を計画している人には、神経管閉鎖障害になる可能性を低減するために、食品からの摂取に加えて、いわゆる栄養補助食品から1日あたり400㎍の葉酸の摂取を推奨しています。

(家族と健康 第773号)
(吉村 やすのり)

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