妊娠高血圧腎症の予防法―Ⅲ

Nicolaidesらの多施設共同研究によれば、単胎26,941症例から2,971症例の妊娠高血圧腎症のハイリスク症例を抽出し、798例に妊娠11~13週からアスピリンを毎晩150㎎/㎎、妊娠36週まで内服させています。同時に偽薬を822例に投与されています。
アスピリン投与により妊娠37週未満の妊娠高血圧腎症のオッズ比を0.38まで低下させ、特に妊娠34週未満の早発型妊娠高血圧腎症のオッズ比を0.18まで低下させました。妊娠早期に臨床的に妊娠高血圧腎症の発症リスクを検討した上で、アスピリンを予防投与することで、妊娠36週未満の妊娠高血圧腎症を60%以上減少させました。しかし、アスピリン投与は妊娠高血圧や妊娠高血圧腎症を伴わないSmall for gestational age(SGA)児を減少させませんでした。

(平成30年4月1日 日産婦医会報)
(吉村 やすのり)

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