妊婦による新型コロナリスク

米疾病対策センター(CDC)は、新型コロナに感染した妊婦と、妊娠していない女性計約9万人を比較しています。妊婦はそうでない女性に比べ、集中治療室(ICU)に入るリスクが1.5倍、人工呼吸器を使うリスクが1.7倍高いとしています。
英国や中国などの研究チームが、英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)に発表した論文でも、妊婦の方がリスクが高くなっています。新型コロナに感染した女性を、妊婦とそうでない人に分けて比べた結果、妊婦の方が、咳や呼吸困難が出る割合や、集中治療室に入ったり人工呼吸器を使ったりする人の割合が高かったとしています。
日本産科婦人科医会も、妊娠後期の妊婦は重症化しやすく、感染予防に気を配る必要があるとしています。子宮が大きくなると横隔膜が上がって呼吸がしづらくなり、咳や息苦しさなどが悪化しやすくなります。症状の悪化はウイルスによるものではなく、妊娠後期の妊婦の特徴に関係している可能性もあります。しかし、現時点では、妊婦が新型コロナウイルスに感染すれば、重症化のリスクは否定できないものの、まだ明確なエビデンスはなく、過度に恐れる必要はありません。

(2020年10月25日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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