子どものいない人生

生涯で一度も子どもを産まない女性は増えています。国立社会保障・人口問題研究所の公表したデータによれば、1955年生まれ(現在62~63歳)で子どもがいない女性は12.6%だったのに対し、1970年生まれ(現在47~48歳)では28.2%に達しています。合計特殊出生率が今後、1.4程度で推移すれば、女性の3割は子どもがいない人生を歩むことになります。主婦の友社の調査によれば、子どもを持たない理由を尋ねたところ、1位は「タイミングを逃した」で34.1%です。「病気による体の事情」で29.4%、「育てる自信がないから」で24.7%と続いています。「最初から子どもは持たないと決めていた」人は8.2%と低率でした。子どもは欲しくないという意思より、様々な事情で子どもを持たなかったケースが多いことがわかります。
子どもをもつ、もたないは自らが決めることで、他人や社会がとやかく言うべき問題ではありません。様々な理由で子どもを産めない人もいます。社会が子どものいない人生を選択した人に理解を示すことが何よりも大切であり、多様性を認めることが必要になります。子どものいない人生の選択を含め、今こそ子どもをもつことの趣意を見つめ直すことが大切です。
一方で、産みたかったのに産む機会を逃すようなことがあってはなりません。残念ながらヒトには妊娠可能な生殖年齢というものがあります。妊娠できる時期を逸しないためにも、生殖に関する正しい知識を教育することが大切となります。また仕事をしながら、不妊治療を継続できるような社会のサポートも必要です。少子化対策の一つとして、女性が働きながら、子育てしやすい職場づくりが進められています。

(吉村 やすのり)

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