子どもの医療費助成

全国の自治体が、子どもの医療費に対する助成を拡大しています。2018年4月時点では、全ての市区町村が助成を実施しています。このうち高校生まで助成する市区町村は、全体の3割にあたる536に上り、4割増えています。特に地方で対象拡大が目立ち、住民獲得が目的になっています。医療費負担の過度な軽減は、安易な受診につながり、医療費が一段と膨らむ要因になります。
国が定める医療費の窓口負担は、小学校に入るまでの未就学児が2割、小学生以上は3割です。ただ市区町村が独自に助成し、無料にしたり、受診1回あたり500円に抑えたりすることが多くなっています。2018年度の医療給付費は、39兆2千億円と2016年度に比べて1兆3千億円増える見込みです。厚生労働省は、全自治体が高校生まで無料にすると、医療給付費は助成がない場合に比べて8400億円増えると試算しています。育児支援として子どもの医療費負担を軽減するのなら、高齢者向け給付を減らして財源を捻出するなど、社会保障全体の再設計が必要になります。

(2018年6月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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