子どもの受動喫煙

 子どもを受動喫煙から守るための条例案が検討されています。受動喫煙は子どもの健康に関わる深刻な問題となっています。厚生労働省の研究班によれば、受動喫煙が原因で死亡する人が年約15千人に上り、このうち73人が乳幼児突然死症候群でした。受動喫煙の害を知らない親も多く、それを知ってもらう意味でも児童虐待に近い観点で防止の啓発が必要です。
 しかし、行政が私的な空間に踏み込むことに慎重な対応を求める声もあります。私的空間まで行政が入るのはプライバシーの侵害との批判も届いています。飲食業団体の代表は、子ども連れの家族が飲食店を選ぶ自由を奪うと条例の規定を批判しています。不特定多数の人が同席し、公共性の高い場所と比べ、自宅内などの私的空間に、行政が法令で規制を課すことのハードルは高いものがあります。「法は家庭に入らず」という原則もあります。

(2017年9月8日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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