子どもの声

 各地の保育施設や自治体は、子どもの声がうるさいという住民からの苦情に悩んでいます。厚生労働省によれば、昨年生まれた子どもの数が、初めて100万人を切ったとのことです。国は現在の少子化の危機的な状況を乗り切ることが喫緊の課題であり、子どもを産み育てやすい社会に変えなければならない状況にあります。そのために第一に解決されるべき問題は、保育施設の確保による待機児童の解消です。
 待機児童の問題は、都市部ほど深刻です。自治体は、待機児童対策に力を注ぐようになり、最近は家屋が密集する住宅地の小さい土地や公園などにも、保育施設を作らなければならないケースが増えています。土地が狭いと、隣との距離が取りづらいなど制約が増え、地域住民とのトラブルが増えてきています。都会に限らず、保育施設を運営するためには、近隣への配慮は欠かせなくなってきています。公共性があるからといって、どんな大きな音を立ててもいいわけではありません。保育施設は、子どもが園庭に出る時間や運動会の開催日など、どのような時に音が出るのかを地域の人に伝え、地域と共存する環境を作っていく努力が必要となります。子どもの声がうるさいという苦情は、最近小中学校に対しても向けられるようになっています。
 保育施設ができても、子どもを通わせていない住民にはメリットがないという意見があります。子どもは将来の納税者で、年金など社会保障の仕組みの担い手でもあります。子どもを預けたい親には、高齢者の老後を支える介護職員や看護師もいます。人口減で働き手も不足するのに、誰が高齢者の世話をするのでしょうか。子どもは国の宝です。次の時代を背負って立つ子ども達を、大切にしない社会は存続できません。保育施設は、地域の方々との交流を大切にすべきです。保育施設の意義を住民の方々に十分に理解してもらい、調和を図って共存してゆくことが大切です。いつの日にか、子どもの声が騒音ではなくなることを期待したいものです。

(吉村 やすのり)

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