子どもの臓器移植

1997年の臓器移植法で脳死下の臓器移植には本人の同意が必要でした。15歳未満からの提供はできませんでした。世界的にドナーが少ない状況であり、国際移植学会は、2008年のイスタンブール宣言で、臓器移植はできるだけ国内で進めるよう求めています。2010年に改正臓器移植法が施行され、家族の同意だけで、15歳未満の子どもでも、提供ができるようになりました。
日本心臓移植研究会によれば、18歳未満への心臓移植は、2011年1月~2022年9月末で63件に過ぎません。10歳未満では年間1~7件です。移植を受けるまでに平均675日(約2年)、最長で1,764日(約5年)かかっています。日本臓器移植ネットワークによれば、心臓移植を待つ15歳未満の子どもは、今年1月末時点で65人です。移植を待つ子どもに対し、ドナーは十分にいないのが現状です。海外に渡航して心臓移植を受ける小児は多い時で年間10件を超えていましたが、改正臓器移植法施行以降は1桁で推移しています。
この状況を改善するには、国内のドナー不足を解消するしかありません。またわが国においては、小児の臓器移植に対する医療機関側の対応も十分ではありません。

(2023年3月22日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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