子どもの誕生月の偏り

都心では、子どもの誕生月に偏りが出てきています。2017年は23区中17区で、4~9月生まれの割合が5年前より増えています。深刻な待機児童問題を踏まえ、比較的入りやすい0歳児枠を狙って、春から夏に計画的に出産する例があるようです。
2018年4月時点で、希望しても認可保育所に入れない待機児童は約2万人います。保育所を探す保活経験者の間でささやかれているのが、春生まれは有利ということです。区などが運営する認可保育所は、生後2カ月~数カ月の子どもは受け入れないことが多く、1~3月生まれだと最も定員枠が多くて入りやすい0歳児の4月入所が難しくなります。さらに園児の1次募集を年末に締め切るところでは、追加募集しか狙えません。
森まさ子元少子化担当大臣が理事長を務める公益財団法人の調査によれば、全体の27.6%が2人目出産時に子どもの誕生月を気にすると回答しています。うち半分近い45.3%が4~6月の出産を希望し、1~3月はわずか9.8%にとどまっています。4月の入所まで1年近く一緒に過ごせることや育てやすい気候であることも理由の一つですが、待機児童問題への懸念も影響しているとみられます。専業主婦世帯は600万世帯に対し、共働き世帯は1219万世帯と倍となっています。働きながら子どもを育てる家庭が増えているのに、都会ではいまだに子どもを預ける環境は整っているとはいえない状況にあります。多くの保育所は通年で園児を募集していますが、4月入所が中心となります。

 

(2019年8月5日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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