子どもをもつということ - がんと妊娠を考える -Ⅵ

がん・生殖医療
がんサバイバーとは、がんと診断され治療中、治療後の人々をさします。がんサバイバーが子どもをもつ選択肢としては、まず、がん治療前に配偶子を凍結保存するがん生殖医療が考えられます。女性の場合は、がん治療に入る前におかれた状況により、未受精卵や胚および卵巣組織の凍結のいずれかを選択します。パートナーがいる場合は胚の凍結を、いない場合は未受精卵子の凍結を行います。卵子を採取する時間的余裕がない場合は、卵巣組織の凍結を行います。胚の凍結後の妊娠率は高いのですが、未受精卵子の凍結後の妊娠率は高率とは言えません。卵巣組織の凍結は、がん治療後、妊娠するためには組織の融解後、卵巣組織の移植をすることが必要となりますが、月経が再開しないこともあり、現在のところ臨床研究として実施されています。

 

男性の場合、精液が採取できる場合は精子を凍結保存しておきます。精子凍結は有用な医療手段となっていますが、精巣組織の凍結は、未だ研究段階です。がんサバイバーが子どもをもつためには、いずれにしてもがん治療にあたる腫瘍専門医と生殖医療専門医とのがん治療前からの密接な連携が必要となります。

 

(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。