子宮移植を考える―Ⅰ

子宮移植の対象となる女性
 子宮移植の対象となる女性は、生まれつき子宮が存在しない、もしくは存在しても子宮が機能しないことによる不妊が挙げられ、先天性と後天性に大別されます。先天性のものとしては、Mayer-Rokitansky-Küster-HauserMRKH)症候群、子宮低形成、子宮奇形などが挙げられます。MRKH症候群は女児の約4,0005,000人に1人の頻度でみられ、先天的に子宮と腟上部が欠損している疾患です。正常な女性の核型で、発達にも問題がなく、卵巣からのホルモン分泌は正常です。そのため自らの卵子を用いて受精卵を作ることは可能です。
 後天性なものとしては、子宮悪性腫瘍、良性疾患(子宮筋腫、子宮腺筋症など)、産後の大量出血などで子宮摘出を余儀なくされた場合やAsherman症候群のような子宮内の高度の癒着で妊孕能を失った場合が挙げられます。また近年、若年女性の子宮がんは増加傾向にあり、子宮頸がんおよび子宮体がんの患者のうち、40歳未満で子宮摘出せざるを得ない年間新規患者数は2,500人前後と推定されています。

(吉村 やすのり)

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