子宮移植を考える―Ⅱ

臨床応用の現状
 子宮移植とは、ドナーから子宮の提供を受け、子宮の移植を受けたレシピエントが、妊娠・出産することをいいます。子宮移植の流れは、まず夫婦の受精卵を事前に凍結保存しておき、レシピエントにドナーの子宮を移植します。次に移植された子宮がレシピエントに生着したのを確認し、1年以上の経過観察ののちに、夫婦の受精卵を子宮に移植します。その後、妊娠した場合は厳重な妊娠管理のもとで児を帝王切開で出産することになります。出産後は移植された子宮を摘出することも考慮されなければなりません。
 子宮移植の臨床応用は、2000年にサウジアラビアで生体間で行われて以来、約10年以上の動物実験による基礎データの蓄積を経て、2011年8月にトルコで脳死のドナーから行われました。2012年9月からはスウェーデンで生体ドナーからの子宮移植の臨床研究が開始され、これまでに世界で計22件のヒトでの子宮移植が実施されています(2017年4月現在)。これまでに同グループでは、9人が移植を受け、6人が妊娠し、5例が出産しています。

(吉村 やすのり)

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