子宮頸がんとHPVワクチン―Ⅶ

わが国の現状
日本においては平成22年度からHPVワクチン接種の公費助成が開始され、平成25年4月に予防接種法に基づき定期接種化されました。しかしながら接種後に慢性疼痛や運動障害などの多様な症状が報告され、わずか2ヶ月後の同年6 月に接種の積極的勧奨が中止されたままで、4年以上が経過しております。公費助成導入期の接種対象であった平成6〜11年度生まれの女子のHPVワクチン接種率が70%程度であったのに対して、平成25年6月の接種の積極的勧奨中止により平成12年度以降生まれの女子では接種率が劇的に低下し(図 8)、平成14年度以降生まれの女子では1%未満の接種率となっています。その結果として、将来の日本では、 接種率が高かった世代においてはHPV感染や子宮頸がん罹患のリスクが低下する一方で、平成12年度以降に生まれた女子ではワクチン導入前世代と同程度のリスクに戻ってしまうことが推計されています(図 9)。早期の積極的勧奨の再開に加え、接種を見送って対象年齢を超えてしまった世代にも接種機会を与えることも検討する必要があります。

 

(「子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために」 日本産科婦人科学会)
(吉村 やすのり)

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