子宮頸がんとHPVワクチン―Ⅸ

日本産科婦人科学会のHPVワクチンに対する考え方
WHOは平成27年12月の声明の中で、若い女性が本来予防し得るHPV関連がんのリスクにさらされている日本の状況を危惧し、安全で効果的なワクチンが使用されないことに繋がる現状の日本の政策は、真に有害な結果となり得ると警告しています。
日本産科婦人科学会は、科学的見地に立って、子宮頸がんの予防戦略において HPVワクチンと検診の両者は共に必須であると考え、これまでにHPVワクチン接種の積極的勧奨の再開を国に対して強く求める声明を4回にわたり発表してきました。また本会および日本小児科学会などを含む17の予防接種推進専門協議会の関連学術団体は、HPVワクチン接種推進に向けた見解を国内外に発信しています。これからも子宮頸がんとHPVワクチンに関する科学的根拠に基づく正しい知識と最新の情報を常に国民に向けて発信するとともに、今後、接種勧奨が再開された場合に、接種対象の女性とそのご家族に対して、接種医がワクチンのベネフィットとリスクの十分なインフォームドコンセントを行い、相互信頼関係の下に、希望する人が、接種を受けられる体制を構築していきます。
将来、先進国の中で我が国に於いてのみ多くの女性が子宮頸がんで子宮を失ったり、命を落としたりするという不利益が、これ以上拡大しないよう、日本産科婦人科学会は、ワクチン接種と検診という両者による子宮頸がんの予防およびこの病気の撲滅を皆様と共に目指していくべきと考えております。

(「子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために」 日本産科婦人科学会)
(吉村 やすのり)

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