子宮頸がんワクチン接種報道について

今年度から定期接種されている2種類の子宮頸(けい)がんワクチンの接種後に長期的な痛みやしびれを訴える人が相次いでいるとの報告を受け、厚生労働省の厚生科学審議会の専門部会は14日、「積極的に接種を勧めることは控える」と結論づけた。接種は中止しないものの、自治体に対し、個別の対象者に案内を出さないように勧告している。予防接種法に基づく定期接種の対象からは外さず、実質的な無料接種は続く。現行制度になってから積極的勧奨を差し控えるのは平成17年度~21年度の日本脳炎に続き2例目とされている。

このような新聞記事を掲載するにあたっては注意を要する。委員会での討論内容を報道することも大切であるが、委員会での論議内容を正確に伝えることが肝要であり、記事を読んだ国民に与える影響を考慮すべきである。接種後の体に痛みがでるほどの健康被害については、十分な因果関係が明確でない状況での報道には慎重を要する。欧米においては同様の副作用も報道されているが、ワクチン自体の安全性に重大な問題があるとは現在のところ考えられていない。全世界において子宮頸がんワクチンの有用性が認められており、わが国だけが若い女性に子宮頸がんワクチンを打てないことになってしまうとすれば、その状況は極めて遺憾である。委員会では子宮頸がんの副作用の調査を早急に進め、より安全で安心な情報を出すよう努力して頂きたい。

(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。