孤独のリスク

世界中で孤独への危機感が高まっています。孤独になるとストレスが増し、体に負荷がかかると言われています。米国の研究によれば、孤独が健康に与えるリスクは、たばこを1日15本吸うことに匹敵するとされています。心臓発作のリスクを32%上昇させるとの研究もあります。
都市化が進み核家族化が増えたことで、地縁や血縁といった人とのつながりが薄れました。孤独は特に都市部で進行しています。孤独の広がりは世界的な傾向ですが、中でも深刻なのが日本の中高年男性です。背景には日本の社会風土があります。特に終身雇用と長時間労働のせいです。社内の縦の関係の中に居続けると、肩書を離れた水平的なコミュニケーションが苦手になってしまいます。
60歳以上を対象にした内閣府の高齢者の生活と意識に関する国際比較調査によれば、同居の家族以外に頼れる人として、友人を挙げた人は米国とドイツが45%でしたが、日本は19%に過ぎません。自治体では男性が集まる仕掛け作りが見られるようになってきています。しかし、まず個人が自覚して孤独にならないよう努力することが大切です。会社以外に自分の居場所をつくっておく必要があります。

(2018年9月14日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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