学歴が生む賃金格差

コロナ禍は、各国で一般市民の教育への不安を増幅させています。所得に余裕がある層は教育への支出をためらいません。米マサチューセッツ工科大学の分析によれば、1963年からの54年間で、大学院卒男性の実質賃金は約2倍となる一方、学歴が低いほど賃金も伸びていません。産業など技術の進歩の恩恵は、高度教育を受けた者に偏っています。社会が求める人材は時代とともに変わります。デジタル化の急速な進展に、既存の教育システムは追いついていません。
全米科学財団は、大手IT企業などと組んで、中高生の段階から次世代テクノロジーの量子技術に触れる人材である量子ネイティブの育成を始めています。通常、量子技術にかかわる専門知識は大学で学びますが、若い世代にも先端の教育機会を広げ、将来の労働参加の幅を広げています。
米IBMは、多くの黒人が通う大学で100億円超を投じて量子教育などを充実させています。デジタル化時代に続く量子時代の到来を見据え、スキルを持つ高度人材育成での格差縮小を狙っています。

(2021年2月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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