学童保育を考える

共働き世帯の小学生などを放課後に預かる学童保育が不足しています。小学校前に上がる前の子どもは保育にて延長して過ごすことができますが、子どもが小学生になると、預け先がなくなり、親の就労継続が困難になってしまいます。いわゆる小1の壁と呼ばれる現象です。小学校に上がった子どもが、放課後安心して過ごせる場を確保することが、女性の就労を支える上で、急を要する課題です。希望しても入れない待機児童は、2017年5月時点で約1万7,000人に上っています。
学童保育では、児童館や学校内で、研修を受けた支援員が見守る中、子ども達が遊んだり、宿題をしたりして過ごします。全国に約2万5,000か所あり、117万人が利用しています。共働きの増加で、設置数、利用者数とも急増してきています。鳥取大学医学部付属病院では、医師や看護師などのために学童保育のみならず、お泊り保育も実施しています。政府は、先月、女性の就業率のさらなる上昇を見込み、2018年度末までに122万人分とする現計画に30万人分上乗せし、2023年度末までに152万人分の受け皿を確保する新たな計画を打ち出しています。
子どもの遊び場の減少もあり、高学年でも必要性が高まっています。整備促進には、学校の空き教室などの徹底活用が有効と考えられます。設置費用が軽減できる上、子どもの安全確保の面でも望ましいと思われます。放課後の児童対策として、全児童を対象に学校内で学習支援やスポーツ・文化活動を行う事業もあります。課題は、学童保育の質の改善です。学童保育は、子どもを預かるだけでなく、生活習慣の確立や社会性の習得など、発達段階に応じた成長を支える役割を担っています。適正な広さやスタッフ数の確保に加え、支援員の研修の充実が欠かせません。子どもの安全・安心に関わるだけに、質の確保が最も大切です。

(吉村 やすのり)

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