定年の延長

定年は世界共通の制度ではありません。欧米では年齢で社員を強制的に退職させるのは年齢差別だとして禁じている国が多くなっています。日本で初めて定年が設けられたのは1887年(明治20年)です。明治後期から昭和にかけて民間企業にも定年制度が普及しました。1970年代からは年金支給開始とのギャップを埋めるために徐々に引き上げられ、60歳定年が主流となって現在に至っています。
政府が70歳定年を打ち出しています。背景にあるのは、財政難にともなう年金支給年齢の引き上げです。男性は2025年度、女性は2030年度に、厚生年金の受給開始年齢が65歳になります。年金を受けられるようになるまで働かなければならなくなります。2018年の内閣府の調査によれば、70歳までは働きたいという人が、4分の3以上を占めています。企業も、40代半ばでの職種転換や転職支援をするなど社員にキャリアの見直しを求め、新卒一括採用、終身雇用、定年という日本の雇用慣行が大きく変わる可能性があります。

(2019年6月6日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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