定期接種と任意接種

予防接種には、予防接種法に基づいて、市区町村が主体となって実施する定期接種と、希望者が各自で受ける任意接種があります。そして定期接種はA類疾病とB類疾病に分かれます。A類疾病は、集団発生が問題となる疾病で、予防の重要性が高くなっています。蔓延を防ぐために、努力義務があると厚生労働省は規定しています。HPVワクチン感染症は定期接種のA類疾病に分類されており、接種については国民に努力義務があることを忘れてはいけません。その接種率が1%未満であることは、WHOからの再三の忠告もあるように忌忌しき問題です。
一方、B類疾病に対する予防接種は、個人の発症とその重症化を予防することが目的であり、これらは努力義務がありません。定期接種は、HPVワクチンのように定期接種の対象となる年齢が決まっており、その費用は一部自己負担もありますが、公費となっています。自分が何の予防接種を受けてきたかは、母子手帳に全て記録されているので、それを見れば確認できるようになっています。感染症の脅威から、自分自身を守るためには、予防接種をきちんと受けるべきです。WHOから、将来HPV感染症が日本の風土病ですと名指しされないためにも、一日も早くHPVワクチン接種に関する理解が深まることが期待されます。

(鳥取大学医学部付属病院広報誌 カニジル第2号)
(吉村 やすのり)

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