家事事件の増加

 家事事件とは、離婚、相続といった親族間の問題が、調停や審判として家庭裁判所(家裁)に持ち込まれることをいいます。2016年の件数は1949年の統計開始以来、初めて100万件を超えると思われます。進む高齢化や裁判をめぐる変化が背景にあります。家裁は離婚のほか、後見や相続などに関わる審判や調停を中心に手がけます。高齢化を反映して後見人の選任・監督や相続放棄なども増えており、家事事件全体の件数が増えてきています。
 増加が目立つ案件は相続放棄の手続きです。住む予定のない実家などを相続しない人が急増しています。遺産相続に絡む争いも多くなっています。離婚に伴う争いも増えています。別居中の夫婦が生活費などの負担割合を決める婚姻費用の分担の調停や審判、子どもとの面会や交流を求める調停なども増えています。当事者だけでは解決に至らない場合に、裁判所を利用しようと考える人が増えてきています。2016年は、初めて家事事件が刑事事件を上回る可能性があります。

(2017年2月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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