小児へのコロナワクチン接種

新型コロナウイルスのワクチンの対象が12歳以上にも広がり、一部の自治体では接種が始まっています。ワクチンの効果や安全性についてのデータは、大人に比べると少ないのですが、ファイザー製の場合、海外の治験では16歳以上と同様の発症予防効果が示されています。子どもの場合、感染しても無症状や軽症であることが多いとされていますが、極めてまれに重症化します。
日本小児科学会が6月に示した見解では、重い基礎疾患がある子どもへの接種は重症化予防の効果があるとしています。健康な子どもの場合も、重症化予防や重症化しやすい高齢者にうつさないといった観点から、接種の意義はあるとしています。学会は接種前から後まで細やかな対応が必要で、集団接種よりも、かかりつけ医などでの個別接種が望ましいとしています。
海外の子どもの接種に関する臨床試験では、12~15歳で、特に2回目の接種後に強い痛みが78.9%や疲労感が66.2%、頭痛が64.5%、悪寒が41.5%と訴える人がかなりの割合で報告されています。また、接種の後に突然卒倒したり、失神したりする血管迷走神経反射も、まれではありますが、比較的若い世代に起こりやすいとされています。接種時の緊張や痛みをきっかけに起きる体の反応です。ワクチン接種後、ごくまれに心臓の筋肉に炎症が起きる心筋炎、心筋を覆う膜に炎症が起きる心膜炎が、ファイザー製とモデルナ製のワクチンで報告されています。

 

(2021年7月21日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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