少子化をめぐる現状―Ⅲ

諸外国との合計特殊出生率の比較
諸外国(フランス、スウェーデン、アメリカ、イギリス、ドイツ、イタリア)の合計特殊出生率の推移をみると、1960年代までは、全ての国で2.0以上の水準でした。その後、1970年から1980年頃にかけて、全体として低下傾向となりました。その背景には、子どもの養育コストの増大、結婚・出産に対する価値観の変化、避妊の普及などがあったと指摘されています。しかし、1990年頃からは、合計特殊出生率が回復する国もみられるようになってきています。
特に、フランスやスウェーデンでは、合計特殊出生率が1.5~1.6台まで低下した後、回復傾向となり、2000年代後半には2.0前後まで上昇しました。フランスでは、かつては家族手当などの経済的支援が中心でしたが、1990年代以降、保育の充実へシフトし、その後さらに出産・子育てと就労に関して幅広い選択ができるような環境整備、すなわち両立支援を強める方向で政策が進められました。スウェーデンでは、比較的早い時期から、経済的支援と併せ、保育や育児休業制度といった両立支援の施策が進められてきました。こうした国策により、出生率のV字回復が認められるようになっています。

(平成30年度少子化の状況及び少子化への対処施策の概況)
(吉村 やすのり)

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