工学を学ぶ女性を育てる動き

文部科学省の2021年度学校基本調査によれば、工学系学部に所属する女子学生は約6万人です。工学部生約38万人の16%に満たず、学部別の女性比率は最も低くなっています。世界的にみても低く、OECDによれば、女性の大学入学者のうち理工系に進学した女性は7%で、OECD諸国平均15%を大幅に下回っています。
女子学生の割合が少ない大学工学部で、入試に女子枠を設ける動きが広がっています。背景には、多様性の確保がなければ、研究や技術開発で後れを取るとの大学側の危機感や、産業界からの要請があります。国も理工系の女子学生確保に取り組む大学への支援を打ち出し、後押ししています。
女子枠については、不公平、男性差別との声もあがっています。しかし、各大学は、多様な学生を募る総合型や学校推薦型選抜なので問題はないとしています。平等と言いながら現実に男性ばかりという偏りの中、大学の裁量が入る入試で、別の偏りの女子枠を設け、本来の平等を目指す試みは差別ではないと思われます。女性だから社会のニーズに合うものづくりができるという発想は短絡的ですが、経験や指向性が違う人たちが交じる意義はあります。

 

(2022年12月20日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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