市販薬の利用

市販薬とは、薬局やドラッグストアで売っている医薬品のことです。医師が病院で処方する必要がある医療用医薬品から転用された市販薬は、スイッチOTC医薬品と呼ばれています。その数は現在約1,700品目と、市販薬全体の約16%を占めていますが、金額ベースでは25%にとどまっています。
政府は、2017年に市販薬の購入を促すセルフメディケーション税制を導入しました。スイッチOTCの購入額が年間1万2千円を超えると、超過分が総所得金額から控除され、税負担が軽くなるという制度です。不必要な通院を防ぐ効果を期待していますが、実際の利用は見込みを大きく下回っています。
医療費抑制につながる市販薬の利用が広がっていません。湿布や鼻炎薬など市販薬があるのに、利用者が病院に通って処方される医薬品の総額が5千億円を超しています。処方薬に頼る人が多いのは自己負担が軽いからです。処方薬は自己負担が原則3割と安いからですが、残りは税金や保険料で賄われています。一律に保険を使う制度を改め、代えがきかない新薬に財源を振り向ける必要があります。

(2019年7月12日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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