希望出生率1.8を考える―Ⅱ

働く女性が1人目の子どもを持つためには、保育サ-ビスの充実や、勤務先企業で仕事と子育ての両立を支援する仕組みがあることが不可欠となります。2人目以降の課題は夫の育児への参加です。現状では正社員の女性の約5割が、妊娠や出産を機に退職しています。夫は妻が子育てをするから自分はしなくていいと思いがちです。性別役割分担意識が根底にみられます。若いカップルは、妻が専業主婦になっている場合でも、夫の育児への参加がないと2人目は無理と考えてしまいます。3人目以降になると教育費などの経済的負荷が一番のハ-ドルになります。そのため、多子世帯への経済的支援が有効策といえます。
 わが国においても、フランスのように今後は人生の選択肢を狭めないようにしていることが大切になります。子どもを授かると3年の育児休業を取り、また同じポジションに戻れる法律をつくることも必要かもしれません。フランスでは大学まで無料であり、子育てにおいて教育資金を考える必要がなく、不妊治療への支援も充実しています。また婚外子の割合が5割を超えています。フランスも1970年代の婚外子は7%でほとんどであり、日本とも変わらない状況にありました。40年かけて助成の働き方や男女の意識が変わり、少子化を脱却してきました。
 わが国においては、婚外子が以前と少ない状況を考えなければ、出会いや結婚のために若者が一歩踏み出し、未婚を減らすことが大切になります。また働き手全員が労働時間を短くする意識を高め、男性の育児や家事を増やすことも必要になります。男女の役割への意識を大きく変化させることにより、出生率が回復できるようになるかもしれません。社会、企業、男性の意識改革がキ-となります。

(吉村 やすのり)

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