平均所得や消費支出の推移

夫婦共働きの世帯は、1990年代に専業主婦世帯を上回り、今では2倍以上の差になっています。かつては専業主婦がステータスという時代もありましたが、今は夫婦2人の収入で家計を成り立たせているケースが多くなっています。この20年間で、雇用の流動化も進んでいます。非正規雇用者も増え、総務省の労働力調査によれば、昨年の雇用者に占める非正規雇用者の割合は、男性で22.1%、女性で54.4%に達しています。

一方、コロナ禍で非正規雇用者は減少に転じており、雇用の調整弁としての不安定な環境が顕在化しました。一つの企業に定年まで勤めることも当たり前ではなくなってきており、2019年には、転職者数が2002年以降で最多の351万人になっています。
共働きが増えているにもかかわらず、1世帯あたりの平均所得金額は、1990年代半ばをピークに漸減し、近年ほぼ横ばいで推移しています。2人以上世帯の年間の消費支出は、総務省の家計調査によれば、2020年は333万5千円で、20年前と比べて約1割減っています。通信費は1.4倍に増えましたが、教養娯楽費は3割弱減り、被服費も半減しています。

GDP統計の家計最終消費支出は、1990年までは年3~5%台で伸びていましたが、1990年代半ば以降は金額の水準自体は上がっているものの、伸び率は低迷しています。2000~2019年の実質個人消費の年平均成長率は、G7の中でイタリアに次いで2番目に低くなっています。

(2021年10月23日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。