平均賃金と労働生産性

OECDの2020年の調査によれば、物価水準を考慮した購買力平価ベースによる日本の平均賃金は424万円です。35カ国中22位で、1位の米国の763万円と339万円も差があります。1990年と比べると、日本が18万円しか増えていない間に、米国は247万円も増えています。この間、韓国は1.9倍に急上昇し、日本は2015年に抜かれ、今は38万円差がついています。
一方、日本生産性本部によると、2019年の1人あたりの労働生産性は37カ国中26位です。1970年以降では最も低い順位で、G7では1993年以降最下位が続いています。自動車産業など、日本経済の稼ぎ頭だった製造業でさえ、直近の2018年は16位です。1995年、2000年は1位だったのに、他の国に次々に抜かれていきました。
バブル崩壊後、企業は大量解雇や大幅な賃下げで批判を浴び、従業員の働く意欲や生産性も低下しました。この記憶が残り、日本の企業は業績が好調な時でも賃金を低く抑え、代わりに危機時にも解雇や賃下げはなるべく小幅に抑えるという傾向が強くなっています。今回のコロナ禍によって、将来何が起こるか分からないという不安はさらに高まっています。バブル崩壊以降、労働組合も雇用維持を優先し、賃上げを要求しなくなってきています。労組が弱体化し、個人の賃金交渉が根付かない現状では、労働省は賃金の決定に関与できず、受け身の姿勢から抜け出せない状況にあります。

 

(2021年10月20日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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