年金制度がもつ問題点―Ⅱ

年金受給プラン
年金制度の仕組みを工夫することにより、退職促進効果を軽減できます。一つは繰り下げ受給で、この制度の下では年金の受給開始年齢を遅らせ、働き続けられます。それにより、毎月の給付額は死亡するまで増額され、受給開始年齢を遅らせるほど給付額の増額幅が大きくなります。もう一つは在職老齢年金で、この制度の下では年金受給をした後でも働き続けられ、年金の基本月額と給与所得の月額の合計が一定の水準を超えると給付の一部または全額が支給停止となるため、この制度は結果的に高齢者の労働意欲を弱めることになります。
働いている間は、年金を一切受給する必要のない人は繰り下げ受給を選べば、年金の受給開始年齢を遅らせることで、毎月の給付額が死亡するまで増額されます。一方、働いている間も年金を受給したい人は在職老齢年金を選べば、ある範囲までは給与所得と年金を同時にもらえます。同じく仕事を続けたい人でも、健康に自信があり、長生きするつもりの人は繰り下げ受給を選んだ方が得です。一方、健康に自信がなく、長生きできるかどうか分からない人は在職老齢年金を選び、早めに年金を受給し始めた方が得です。

(2019年9月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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