幼稚園の活用

 都市部では、保育所に子どもを預ける世帯が増え続け、新たに保育所をつくっても追いつけません。重労働に見合わない待遇の低さから、保育士も不足しています。一方、子どもの数が減り、3歳児以降を預かる幼稚園のニーズは減ってきています。しかし、定員割れの幼稚園もある中、余った定員を待機児童に充てる動きは進んでいません。
 日本総合研究所の試算によれば、出生率が横ばいで、妻の就業率が2倍のペースで上がった場合、幼稚園児は2015年の151万人から、2040年には35万人まで減ると予測しています。一方で、待機児童の8割を占める02歳児の保育所の子どもは、同条件下で89万人から168万人と、2倍近くに増えるとしています。就業率が現在と同じであっても、幼稚園児は2040年に64万人と、2015年と比べ半分以下になります。保育所と幼稚園を分ける意味もなくなっています。保護者から子どもを預かるという役割では、両者にそれほどの差はありません。幼稚園の空き定員を、待機児童などの保育所ニーズに充てていくべきです。

(2017年2月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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