待機児童の減少

これまで都は、待機児童解消を最優先課題の1つに掲げ、自治体の保育所整備などを後押ししてきました。2017年4月に8,586人いた都内の待機児童は、新型コロナの影響もあり2021年4月に969人と9割近く減少しています。都内62区市町村のうち、4割にあたる26自治体がすでに待機児童ゼロとなっています。コロナ禍で都内への人口流入が鈍る中、子育て支援策の見直しが必要となってきています。
待機児童解消に向け保育所の整備などを進めてきた港区では、2019年4月から3年連続で待機児童ゼロを達成する一方、2021年4月時点で、区内の保育施設の定員の16.6%が埋まらなくなっています。定員割れは、保育所の経営悪化や保育士の士気低下につながります。
子育てを巡る社会環境も急速に変化しています。2019年10月に幼児教育・保育の無償化が始まり、2020年以降は新型コロナの影響で区内の就学前人口が減少に転じ、在宅勤務の普及も進んでいます。子育て政策の軸足を保育施設の定員拡大から、サービスの質や多様性の確保へと転換していくことになります。
待機児童の解消に伴って、小学校入学後に放課後に預けられる施設が見つからない小1の壁が新たな課題になってきています。都は、2022年度から区市町村の学童クラブの拡充支援や都の認証保育所の空きを活用した小学生の受け入れなどを始めています。

(2022年1月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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