待機児童問題―Ⅷ

保育園の基準緩和
 認可保育園には、保育士の配置や部屋の面積などに最低基準があります。例えば2歳児を受け入れる場合、子ども6人に保育士1人、子ども1人あたり1.98㎡の部屋の面積が必要になります。園庭については設けることとされ、近くの公園で代替してもよいとされています。待機児童の解消策として、政府は保育園の数を増やす一方で、たびたび基準を緩めて保育園で受け入れる子どもの数自体を増やそうとしてきています。
 自治体が独自に認定する東京都の認証保育所や横浜市の保育室でも、政府が待機児童解消の切り札として設置を後押しする企業主導型保育所でも、認可外の保育園の基準は緩くなっています。辞める保育士も続出し、保育の質はどんどん下がっています。多くの保護者は保育の質まで要求できないのが現状です。基準を緩和して待機児童が減ったとしても問題の解決にはなりません。

(2017年11月11日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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