待機児童問題を考える―Ⅱ

増加の理由
 待機児童が増える最大の理由は、共働き家庭が増えていることによります。総務省の労働力調査によれば、子育て世代である2544歳の女性の就業率は右肩上がりで伸びており、2011年の66.7%から2016年には72.7%に上昇しています。それに伴い、親が自治体に保育の利用を申し込んだ子どもの数も、2011年の約218万人から2017年は約265万人へと、約50万人も増えました。一方、保育の定員は、2011年の約220万人から2017年は約274万人に増え、申し込み数を上回る定員枠は確保されています。それでも待機児童数が減りません。
 その理由の一つは、子どもの年齢による需要のミスマッチです。待機児童の9割は3歳未満が占め、特に12歳児が多くなっています。この年齢層の受け皿が圧倒的に不足しています。待機児童の大半は02歳で、35歳の定員枠は空きがあることもあります。もう一つの要因は、地理的な需要の偏りです。待機児童の7割は首都圏と近畿圏、その他大都市に集中しています。富山県や鳥取県などの7県ではゼロです。さらに、同じ自治体の中でも、地域によって、需給のミスマッチが存在します。需要と供給の偏りを解消する知恵が必要となります。

(2017年9月10日 読売新聞)

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