待機児童問題を考える

待機児童対策は、少子化対策と労働力を確保する女性の就業率向上の2つの役割を担う重要政策に位置付けられています。保育園を希望しても入れない待機児童は、今春、1万2,439人と過去最少になりました。しかし、目標の今年度末「ゼロ」達成は厳しく、政府は新たに保育園の定員を14万人ほど拡充する待機児童対策プランを公表する予定です。
保育利用者が増えた一方で少子化も進み、将来的には保育園が余る懸念がでてきています。出生数は2001年以降30万人以上減少し、昨年は86万5,239人となりました。待機児童の主な層である1~2歳児では、約50万人減った計算になります。また、目標達成にこぎ着けなかったとはいえ、保育園の定員は2001年から約100万人増え、今春は約296万7千人になっています。待機児童数は2017年から減少傾向が続き、この3年で1万3,642人減少しました。
政府は、市区町村ごとの人口変化を踏まえた対策を取り入れようとしています。人口増加が見込まれ、待機児童が増えている都市部では、保育園の定員拡充策を継続します。待機児童が増えていても人口減少が見込まれる地域では、利用希望者と保育園をつなぐ保育コンシェルジェの活用や通園用巡回バスの整備で、定員に余裕がある園の利用を促します。将来的に保育園が余る懸念があるためです。今後は保育の量ではなく、質を考える時に入っています。

 

(2020年11月30日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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